2008年12月15日月曜日

今後の問題点

◎紀伊@都立大です。
◎篠原@京都さんのメールを興味深く読ませていただきました。
◎たいへんすごい文章で、圧倒されてしまいました。
◎私は、カレル、ヴァン、ウォルフレン氏の話、土井健朗の
◎本など全く読んだことがなく、誰の論がどうこう、などと
◎いう話は全くできませんが、とにかく、最後に、おっしゃ
◎ってくれた、
◎★「しかし、一般受けすることを狙った過激さよりも、本
◎★当に大切なのは、現在のシステムの問題を把握し、
◎★ひとつひとつそれに解決の手をのばすことだと思います。」
◎は、大切なことだと私は、感じました。
◎何事も、口でいってもそれを一つ一つ実行していくのは、
◎たいへん、きついことです。それに実際に、思ったことを、
◎実行するのには、たいへんな困難が生じてきます。問題を把
◎握し、細分化し、一つ一つ解決策を見い出し、それを実行し
◎ていくことは、とても大切なことではないかと思います。
◎そして、その解決策の模索と実行のために、この会は存在す
◎るものではないかという気がします。
◎政治、経済、産業、など、さまざまな分野で問題が発生して
◎おります。そのすべてを一度に議論しようとせずに、自由に
◎ということも大切ですが、ある程度、論点を絞り込んで、議
◎論することも大切ではないかと思います。問題をわけて、焦
◎点を絞り議論することを、私は、提案します。
◎とりあえず、私が思いつく、日本の問題を上げたいと思います。
◎1高齢化
◎2行政改革
◎3通信料などの通信インフラに関する問題
◎4日本のマスメディアに関する問題
◎これ以上は、パット頭に浮かびませんでした。絶対、他にも
◎たくさんあるとは思いますが。
◎皆さんのお返事を待っております。
◎それではこれくらいで、サユナラ

◎紀伊@都立大でした。

 経歴について若干述べたことで、皆さんを驚かせてしまったようですね。そうなるのではないかと心配していたので、少し申し訳ない思いが致します。しかし、僕のような経歴は本当にあることなのです。テレビや漫画でしか見られないであろう人間が実際にいることをお知らせするのは、この会の結成の意味からいっても、大切なように思い、苦労自慢に堕さないか心配でしたが、いささか書き留めてみた次第です。

また、2、3日ほど皆さんのメールを読ませていただきましたが、どうも僕の意見はこのままだと浮いてしまうような気がしました。ふだんの生活の場ならいざ知らず、次の時代を自由に語ろうといって集まったこの場で、自ら韜晦したくはありません。思ったことを、バンバンぶつけさせて戴くつもりです。いくら一人で努力したところで、所詮は一人です。思考回路も、生い立ちに左右されていまいがちだと思います。それに、一人では何も動かすことは出来ませんが、沢山の人が動けば、大変なことがやれるというのは、神戸で強く実感したことです。だからこそ、"ムーブメント"の意味は、極めて重いと言えると思います。念のためにつけ加えますが、僕のなめねばならなかった苦労は、僕が進んで選んだものではなく、父の道連れでやむなく受けざるを得なかったもので、エラクもなんともないのです。もし引け目を感じた人がいたとしたら、それは意味がないのでやめて下さい。ただ、僕の意見が皆さんとやや角度を異にし、アクのきついものになる理由を察していただければ有り難いです。

大切なことは、これからの時代を、各自がどう生きていくか、ということだと思います。この会から、様々な生き様を選べるようであって欲しいと願います。時には、全く逆に見える生き方の人たちが併存してもよいと思います。ただ、自分を包み隠さず、自由に議論を展開できる場であり、各自が自分なりの答えを見つけることが出来、しかも力を合わせて何事かを成し遂げてゆける、そんな集まりであれば、これ程良いことはないと思います。

せっかくですので、ここでいくつか、僕から提言させていただきます。先ず、出来るだけ、ウォルフレン氏の著作を読んでいただきたいということです。今の日本が抱える問題を理解するには、この人の分析が最もよいと信じるからです。僕自身、この人の本を読んで初めて、なぜ僕の家族をここまで徹底的に追いつめなければならなかったのか、その動機が理解できました。この人の主著は「日本/権力構造の謎」が挙げられるのですが、それを読む前に「人間を幸福にしない日本というシステム」という本を読まれる方がよいでしょう。日本のシステムの問題を把握するにはこれで充分ですし、日本人への呼びかけとして書かれたということもあり、非常に読みやすく、理解もしやすいものです。京都に住んでいる方は、京大の生協書籍部「ルネ」で購入できます。かなりやかましくいったので、「ルネ」にはウォルフレンの主な著作が、上記の2つの他に、「日本の知識人へ」、「支配者を支配せよ」も陳列されています。

20日付の朝日新聞の一面に、橋本首相の言葉が載っていました。「六つの改革」の進め方について、行革本部長が「優先順位をつけたらどうか」と進言したのに対し、首相は「システムは相互に密接に関連している」として一体処理の方針をを示したそうです。この「システムは相互に密接に関連している」というスタンスこそ、ウォルフレン氏が繰り返し訴えていることで、今の主要政党の党首近辺で、この分析を土台にしていない人はいないと断定できるほどです。今の政治改革の方向がよくつかめないでいる人は、この本を読めばすぐに解るはずです。なお毎日放送の筑紫哲哉氏がウォルフレンと意見を交換することがたびたびあるので、注意してみて下さい。

さて、今後日本が迎えねばならない問題として、最悪の場合、次のようなものが挙げられると思います。

1.流通システムの崩壊
 来世紀には、世界的に食料が不足します。その時日本は、国民を養う主要産業を何も持っていない事態に至ることが、十分に考えられます。しかも、若年層が薄く、老人の多い活力のない国になっていると予測されます。また、日本の国土は農薬、化学肥料、減反などで既にかなりダメージを受けており、元々3000万人程度しか養えない国土が、さらに貧弱になっています。飢餓は黙視できない、最重要課題となるでしょう。これに対して、僕たちが出来ることはなんでしょうか。先ず、最悪の場合、自分の住む地域の人たちだけでも食糧を確保できるようにして下さい。そのためには、地域の人間のつながりを強化し、自治制を強めることです。出来れば、今のうちに日本の農村と協力体制を形成しておき、自分の町の人たちだけでも飢えないようにする工夫を始めて下さい。暴徒化する人を、なるべく少なくするためにも、大切なことです。農村に労働力(例えば退職してヒマを持て余している人たち)を提供し、地域独自の流通システムを構築して下さい。いったん混乱が起きれば、現在ある流通システムの崩壊する可能性は大です。もう一つは、出来るだけ小さい単位の地域で、アジアの農村とリンクして下さい。国内ではどうにもならなくなったとき、頼れるのは近隣国であるアジアだけです。遠い将来、難民として受け入れてもらえるくらいの親密さを持てればよいのですが。最後に、真面目に働くことです。研究者なら、独創性のあるものをめざして下さい。それが日本を支えることになります。それを妨げるものには、食ってかかるくらいの腹づもりをして下さい。

2.教育制度の改革
 皆さんが気付いているかどうかは知りませんが、今の十代の8割以上は、神経症に陥っているとみなければならない、非常事態です。暴徒予備群が、相当数増えています。(「盗む」という感覚さえ喪失した中高生が「普通の少年」であるということ、震災で最も活躍したのが普段ヤンキーと呼ばれて煙たがられている連中であり、大学生はほとんど逃げ出し、なんの役にも立たなかったことなどが根拠として挙げられます。すなわち、正常な人間と呼ばれている人間が実は異常であり、はみ出しものと呼ばれている人間は、実は精神的によほど健康であるという、逆転現象が起きているのです。震災で典型的だったのは、被災状況を目の前にしながら、「議論のための議論」に拘泥し、ヤンキー達は遊び半分で来ながら、目の前にした途端阿修羅のように人命救助に当たったことです。しかし、彼らを評価することは終ぞ行われませんでした。報道規制があったのだろうと、私たちの間で言っています。)私たちのやれることはなんでしょうか。むろん、政府に教育制度の抜本的な改革を進めてもらえるよう、応援をすることです。単なる応援をするだけでなく、ネット上でもかまいませんから、教育問題に携わる人に勉強会を開いてもらい、その中から提言していくことも試みましょう。(僕は個人的に、灰谷健次郎さん(「兎の目」「太陽の子」などの小説)に頑張って欲しいと思っています。)また、地域の青年団を、新たに作った方がよいでしょう。青年団と言うよりも、世代を越えて触れ合える、子どもの広場のようなものが、いつも開かれていて、そこに必ず保護者ないし年上の人間がいるというものを作っていただきたいです。今の子どもには極端に人間同士のふれあいが少ないので、これを増やすというのが基本的な路線です。

3.宗教の改革
 オウム真理教のような狂気の集団が、麻原の手法を学んで、各地で横行する時代が、食糧危機のために暴徒があふれてしまった場合、充分来る可能性があります。宗教は見逃せに出来ない影響力があり、今のような冠婚葬祭会社に過ぎなくなった宗教界は、何とか変わってもらう必要があります。先ず、地元の小さな寺社、教会には、もう一度人々が交流する場であり、今後の方針を考えていく場になるよう、住持なり神官なり神父なりに、これからの時代をよく説いて下さい。また、これはこの会全体の行動とすることを提議しますが、例えば京都にあまたある「観光株式会社」然とした寺社仏閣を管理する糞坊主に、宗教者としての自覚を取り戻すようメッセージを送り続けることです。宗教は宗教でしか制することが出来ません。今の金儲け主義に走っている風潮を内部から変革されるのを助けるためにも、出来るだけ多くの人々の連名でメッセージを送ることが、有効だと考えます。

4.高齢化社会
 国の援助は当てに出来ると思わないで下さい。首相は今、隠しています。正直なところでは、もはや老人福祉を支える力は、今後の日本に残されていないのです。地域のネットワークを強化し、老人介護を協力して軽減する努力を考えて下さい。

5.国・地方の経済破綻
 もはや、政府に頼ることは考えない方が無難です。あとで文句を言っても始まらないのです。経済破綻を回避するには、二つの方法があります。一つは、支出を減らすこと、すなわち緊縮財政です。もう一つは税収を伸ばすことですが、これには増税によるものと景気回復によるものがあります。増税に関しては、今の日本の各方面での負債状況を見渡すと、歯止めの利かないものになりそうです。また、景気回復に頼る方法は、既に過剰に生産される商品供給力が、世界の消化能力を超えていること、環境問題、食糧問題の観点から、これ以上の物質的商品の開発にはあまり展望が開けないこと、かといって、知的技術を売るソフト部門で活躍するのに必要な創造性は現行の教育制度のために枯れさせてしまっていること、そして何より、人々の意識下に「安易な景気対策でごまかしてはならない、今だからこそ見直さなければならないものが、日本人には突きつけられているのではないか」という疑問が根付いていることなどから、根本的な解決方法とはなり得ないと思われます。従って、基本的には緊縮財政を柱にせざるを得ないでしょう。福祉や雇用対策に手が回らなくなる可能性があり、自分の住む地域で自給できるような体制を、他の地域とのネットワークを利用して確立することが急務です。

6.金融恐慌
 こればかりはどうにもなりません。何とか出来たのはバブル時代が終焉したときに終わっており、今はただ結果を甘受するより仕方がないでしょう。以上、長々と述べたてましたが、どんな混乱があっても頼ることが出来るのは、最終は「人間」しかいないと言うことです。小さくてもしっかりしている自治体が、相互にネットワークを張ることが、最も確実で、強力な方法だと思います。(最後に、今回は指摘するにとどめますが、価値観を再構築する作業を始める必要があります。デカルトが現れて以来、彼が生み出した二つの原理のうちの一つ、「全ての既成概念を疑うか、ないしは否定せよ」が、徐々にその効力を世界に示し始めました。特に、思想輸入国であるアメリカと日本に、その作用が強く現れました。今の日本に芯になるような人間観が失われたのは、戦前教育排斥主義だけでは片付けられないものがあるように思います。デカルトの第二原理、「真理と思われるものから、思想を再構築せよ」を、世界的な観点から行わなければならないように思います。)

以上、誤字の確認もしていませんし、文章に混乱もあることでしょうが、取り急ぎお伝えいたします

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