2008年12月15日月曜日

推薦書

これからの時代を考えていくのには、知恵が必要だと思います。
また、現在の分析はどうしても欠かすことができません。現代を理解する上で役立つのではないかと思う本を列挙してみましたので、興味の湧いた方は読んでみて下さい。

1.「ベスト&ブライテスト」サイマル書房 デイヴィド・ハルバースタム 
 ベトナム戦争の泥沼に、なぜアメリカは飲み込まれてしまったのか。「最良の、そして最も聡明な」側近によって、何が導かれたのか。政治とは何かを考える上での好著。

2.「覇者の驕り」 デイヴィド・ハルバースタム 
 アメリカのフォード、日本の日産という自動車会社を取り上げ、その栄枯盛衰を描き出す。「驕ったとき、その墜落は始まる」というハルバースタムの基本的認識を明確に打ち出した著作。後半のフォードが辿った道と、その時の時代背景は、あまりに日本のバブルと酷似しているので、注目。

3.「菊と刀」 ルース・ベネティクト 
 第2時世界大戦中のアメリカにおいて、日本軍の理解に苦しむ行為は、日本人像を怪異なものにした。政府から依頼を受けた著者は、膨大な資料を渉猟し、その日本人像に迫った。多くの誤認があるものの、日本人がなぜ西洋人の考えるような行為を取らないのかが、解明されて行く。西洋が日本人をどう捉えてきたかを知る上で、必須の本。

4.「甘えの構造」 土居健郎
 「甘え」という、日本語特有の概念から、日本人の持つ不思議な行動様式をときほぐしてゆく。戦後の日本の心理学に、絶大な影響を与えた著作。

5.三笠書房、PHP文庫に多数 加藤諦三
 人間は、自分で自分を駄目にしてしまうことが多い。それがいかにくだらないことかを繰り返し説く。現代の若者が抱える苦悩に、懇切丁寧にヒントを与える。(初期の著作は、自分の父親に対する中傷が繰り返され、やや鼻につく難あり。)

6.「人間を幸福にしない日本というシステム」毎日新聞 カレル・ヴァン・ウォルフレン
 「日本・権力構造の謎」において、日本という不可思議な社会、人間を、権力というテーマを掘り下げることで明らかにしてゆこうとした著者が、日本人に向けて送り出したメッセージ。同じ人間である日本人が、なぜこれほどまでに特殊だと強調されるのか、また、事実特殊だとしか思えない行動は、なぜ現れるのか。「同じ人間である」という信念のもとに、この国をもっと生き甲斐の持って生きれる国にすることができると訴える。「菊と刀」を越える日本人論とさえ呼ばれる著書の、入門書として最適。(京大書籍部「ルネ」に、多数置いてもらっています。)

7.「菜根譚」PHP文庫、あるいは三笠書房、岩波文庫
 守屋洋など 明末の混乱期に、自らの処世訓を書き留めたもの。儒教、道教、仏教を修めた博識と、豊富な人生経験から生まれた知恵は、非常に観るべきものがある。

8.「阿片戦争」 陳舜新
 清末の退廃した国情の中、人々はどのように生きようとしたのか。混乱期にはどういう人物が求められるのか、そして混乱期を乗り越えられなかった国は、どのように苦しむことになるのかを、浮き彫りにする。

9.城山三郎 著作多数
 経済システム、政治の論理を理解するのに最もコンパクトな小説。浜口雄幸、井上準之助を採り上げた「男子の本懐」は、昭和初期の日本の、硬直化した政治システムと破綻した経済を立て直すのに、どのような格闘を強いられたのか、それが失敗したとき、国はどのような方向に向かいかねないのかを窺う、良書。

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